成年後見制度の概要

 先日一般社団法人コスモス成年後見サポートセンターで初回の入会前研修を受講した。内容は、成年後見人の心構えや事例、注意点などだ。今後成年後見を取り扱っていくにあたって、復習や頭の整理として成年後見制度の概要について書こうと思う。

 

 

成年後見制度とは

 成年後見制度とは、認知症の高齢者、精神障がい者、知的障がい者などの判断能力が不十分な人のために、家庭裁判所によって選ばれた後見人が、本人の財産管理や身上監護などを通じて、本人の権利を保護する制度だ。

 つまり、判断能力が不十分で意思決定が困難な方のために、成年後見人が財産を管理し、契約の締結等を代わって行い、本人が誤った判断に基づいてした行為を取り消す等、本人が損害を受けないようにする。

 成年後見人になれる人について、欠格事由に当てはまらなければ誰でもなれる。本人の権利を保護するためと考えれば、身近な家族がなる方がいいだろう。ただ、親族がいない、疎遠、遠方に住んでいる等、家族に成年後見人を頼めない場合がある。そういった時に、弁護士や司法書士、社会福祉士や行政書士に依頼することもある。最近では市民後見人養成講座の案内も目にする。選任するのは家庭裁判所だが、利用者は希望を出すことができる(希望通りになるとは限らない)。

 

 

 

 

 

成年後見の種類

 

成年後見制度には、大きく分けて法定後見と任意後見がある。法定後見には後見、保佐、補助がある。民法上、下記の通りの違いがある。

後見:精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者(民法7条)。

→例)重度の認知症など

保佐:精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者(民法11条)。

→例)日常の買い物などはできるものの、重大な法律行為を一人ですることができない等。中度の認知症など

補助:精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者(民法15条)。

→例)日常の買い物などはできるものの、重大な法律行為などは他人の援助が必要等。軽度の認知症など。

任意後見契約:ひとりで決められるうちに、認知症や障害の場合に備えて、あらかじめご本人自らが選んだ人(任意後見人)に、代わりにしてもらいたいことを契約(任意後見契約)で決めておく制度。本人の判断能力が低下した場合家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から効力が生じる。

 

 後見、保佐、補助についてはできることが違うので、別の機会に書く。